内分泌性高血圧
さまざまなホルモンの分泌過剰
二次性高血圧のなかで腎臓の障害に続き、2番目に多いのが「内分泌性高血圧(副腎性高血圧)」です。
副腎は左右の腎臓の上にある小さな内分泌器官です。内分泌器官とは、体のいろいろな臓器の働きを調整しているホルモンを分泌している臓器のことです。副腎は外側の皮質と内部の髄質に分かれており、それぞれが別のホルモンを分泌しています。
副腎から分泌されるホルモンは、血圧との関係が深く、皮質から分泌されるアルドステロンは腎臓の尿細管でナトリウムの再吸収とカリウムの排池を促します。
また、髄質から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンは血管を収縮させて、血圧を上げる作用を持っています。
これら以外にも副腎からはさまざまなホルモンが分泌されています。それらの量が多すぎることで生じる高血圧を「内分泌性高血圧」と言います。
副腎の内分泌の異常によって起こる病気
副腎の内分泌の異常で起こる主な病気には、「原発性アルドステロン症 」や「クッシング症候群」 などがあります。
原発性アルドステロン症とは、アルドステロンの分泌量が異常に増える病気です。アルドステロンはカリウムの代謝にかかわっており、アルドステロンの分泌量が増えると、血液中のカリウム量が低下してナトリウム量が増え、血圧が高くなります。
また、クッシング症候群は、副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドという ホルモンの分泌が過剰になる病気です。糖質コルチコイドは糖の代謝にかかわるとともに、血圧を上げる物質を増やす作用があります。そのため、糖質コルチコイドの分泌量が増えると、やはり血圧が上がります。
これらの病気以外に、「甲状腺機能充進症」や「甲状腺機能低下症」 、あるいは副腎皮質に腫揚ができる「褐色細胞腫」 などがあります。
二次性高血圧は血圧が高くなるだけでなく、特徴的な症状を伴うことが多いものです。内分泌 の異常が疑われるときは、血液や尿中のホルモン量を測る検査のほか、CT、MRIなどの画像検査を行います。また、アイソトープを用 いた核医学検査を行うこともあります。
内分泌異常が認められた場合は、状況に応じて薬物療法や放射線療法、あるいは手術が行われます。
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- 他に原因となる病気のある二次性高血圧
- 別の病気が原因で高血圧になる二次性高血圧は、決して多くはありませんが約10% の人に見られます。若い年代ほど割合が高いので、若年層 高血圧の人はほかの病気の有無を調べることが大切です。
- 脳・神経系疾患が原因の高血圧
- まれにしか見られませんが、神経系の異常で高血圧になることがあります。脳血管障害や脳腫瘍といった病気や、脳外傷によって脳がむくみ脳圧が高まったときに血圧が上がることがあります。
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- 胸部の大動脈の一部が狭くなる「大動脈縮窄症」という病気では、上半身が高血圧、下半身が低血圧になることがあります。大動脈縮窄症は先天性の病気で、 上半身と下半身の収縮期血圧の差が20〜30mmHg以上になることもあります。
- 血圧を上げる薬剤もある
- 薬のなかには、副作用で血圧が上がったり、血圧の治療薬の効果をなくしてしまう作用を持つものがあります。高血圧とは別の病気の治療薬を飲んでいる人は、薬剤の影響で血圧が上がっているかどうかを鑑別する必要があります。
- 血圧の上がりやすい性格
- 同じストレスを受けても心に大きな影響を受ける人もいれば、あまりストレスと感じない人もいます。人によって何がストレスになるか、またどれぐらいのストレスになるかは 異なリます。ストレスは血圧に影響するため、ストレスを受けやすい人は、それだけ血圧も上がりやすくなります。